壁の彩りを考える
ひと昔前まで、壁紙と言えば「白色」でしたよね。最近では、カラフルで機能性に溢れた壁紙や塗料がたくさんあります。お部屋全体の壁紙を交換しなくても、一面だけのプチリフォームでもグッとオシャレなお部屋になりますよ。オシャレだけじゃない、機能的な壁のヒントをご紹介いたします。
壁をリフォームする前に知っておきたいこと
今も昔も、壁紙といえば白色がとても選ばれています。最近では、個性あふれるカラーをセレクトしたり、立体的に感じられるタイルや、クロスもまた多岐にわたりデザインを選んだり、塗料や珪藻土などを塗ったりとする方法がたくさんあります。お部屋全体を変えなくても、自分の目が行く場所だけを交換するだけでも、とても楽しい空間が出来上がります。
⑴クロス
⑵タイル仕上げ
⑶エコカラットって何?
⑷ジョリパッドや漆喰・珪藻土
⑸木製品や防音材
⑹面白いクロス
4⃣機能性がある壁
1⃣ 壁に使用するものはクロスだけじゃない?
【クロス】
リフォームを行う際には、壁にクロスを選ぶ方がほとんどです。クロスも現在は多種多様にあり自分の求める壁の演出は十分に可能です。クロスは安価なサンゲツのSPクロスや少し値段が上がるAAランクのクロスなど自分の求めるデザインと予算に応じて探していくのがよいでしょう。
まず、クロスを選ぶ方が多い理由を知ることも大切です。一番の理由として、費用が断然に安いからです。壁1面が10㎡として、材料費用+作業工賃で10,000円から27,000円くらいの費用で収まると思います。最近では、特殊なクロスや海外輸入の物まであるので価格は変動しますが、他の施工方法に比べて価格が抑えることは間違いないです。
【タイル仕上げ等】
タイルで壁を仕上げるリフォームを求めるお客様はとても増えました。選ばれる理由としては、断然高級感がハンパないです。タイルもクロス同様、種類が豊富で自分のスタイルに合わせてセレクトすると良いでしょう。取り扱いメーカーもたくさんあり、代表的なものとしてLIXILやKMEW(ケイミュー)名古屋モザイクなど、いろいろ探していくのもとても楽しいです。
タイルを選ぶ方法として、色だけではなく、大きさも重要となります。内装に使われるタイルの主要的なサイズとして、100mmから150mm角などがあります。小さいものでも10mm角・20mm角など様々で、大きいサイズだと600mm角を超えるものまであり自分に合った、もしくは理想の空間が叶うと思います。工事費用は高額になりやすいことから、部分的に採用される方が一般的です。
【エコカラットって何?】
基本的には、タイル仕上げのことを指し、LIXILのエコカラットという商品名を指します。エコカラットが人気の理由として、エコカラットを使用した空間の調湿を行います。調湿とは、湿度が低いようであれば、湿度を上げ、逆に湿度が高ければ、空中の水分を吸収する役目を言います。日本家屋の天然木を使用した家は、自然と木が調湿することで有名です。エコカラットは、調湿に加えて、住まいの有害物質を低減させたり、気になるにおいをすっきりと脱臭するといった特徴を持ちます。壁にエコカラットを採用される方は近年増加しており、部分的に仕上げる方が非常に多いです。エコカラットの特性を生かして、寝室の1面や、ダイニング、リビングの1面に貼られる方が多く思います。エコカラットも十分高級感も高く感じられることから、玄関の1面に採用するのも素敵だと思います。
【ジョリパッドや漆喰、珪藻土】
ジョリパッドを内装の壁に使用する方も、増えております。ジョリパッドとは、皆さんがよく見かけるものとしては、外壁の塗り壁や外構の塀やCB(コンクリートブロック)の仕上げ材として使用し、装飾の役割を持っています。ジョリパッドとは、アイカ工業の製品名でたくさんの色があることで、和風から洋風、モダンまでいろいろな部屋に合わせたカラーセレクトが可能です。ジョリパッドは、砂の入った塗料と考えるとわかりやすく、外壁や外構に使われるほど、耐久性の高さから土壁のような割れなども起こりにくい為、利用する方が増えています。漆喰や珪藻土なども塗り壁の一つで、珪藻土などについては、空中の有害物質を吸引するなどといった情報から人気を博しましたが、頑丈さの観点からは低いと思われます。しかし漆喰や珪藻土といった塗り壁も、雰囲気は素敵ですので選択肢の一つとしてセレクトするのも良いでしょう。
【木製品や防音材】
タイル材同様、いろいろな種類があるため、木製品を希望する方は要望などもスタッフにお伝えいただくと間違いなく思います。木には種類によってたくさんの特徴もあったりと難しい商品の一つと言えます。模様が出やすい物や、黄色味が強いもの、赤味が強いもの、様々です。特に天然木は現在、値段も高騰しており、厚み、幅、長さなどをしっかりと見極めて発注すると良いでしょう。材質によっては、経年劣化により反ってきやすい物や、収縮しやすいものまで種類によって、特徴があります。しかしながら、日本人にとって身体にも、日本の風土特性の観点からも木というのは相性が素晴らしく、現在では日本と北欧の融合したインテリア、ジャパンディ(JAPANDI)という新しいインテリア様式として注目を浴びています。防音材もまた、趣味の部屋や、マンションのリフォームで希望する方もおられます。最近では、防音効果のある木調の壁なども作られており、雰囲気を壊すことなく防音効果も得られる部屋つくりも可能となっています。
【面白いクロス】
私たちもお客様から学ぶことも多く、どこから仕入れたかわからないような商品をおみかけする事もございます。3Dの立体的なクロスや、風景が描かれているようなクロスまで世の中には満ち溢れています。3Dの立体的なクロスには、壁の奥に部屋があるよう錯覚するものや、壁の奥に海があるような面白いクロスまであり、限られた空間を遊んでみるのも面白いと思います。面白いクロスではありませんが、お客様の要望により、一面の壁と天井をデザインして壁に厚みの高低差をわざと作り、違うクロスを張るだけでも立体的に感じられ素敵な空間作りが可能となります。
2⃣色選びの効果や重要性
壁の色選びの効果や重要性に関して、ヒントとしてご活用いただければ幸いです。まず、壁の色を検討する際に、どのことを起点に検討していくかを考えなければなりません。家具の色から決める方もいますし、床の色から決めたり、好みの様式から決める方もおられます。私自身は様式から選ぶことにしています。例えば北欧様式を選んだとします。北欧とは雪も多く曇りも多い土地の関係により、少ない太陽の光でも部屋を明るくする理由から白色の明るい部屋づくりがベースとなり木を使用した家具なども多いことから木の色がベースとなります。白色系統、茶色系統、淡いカラーをセレクトすれば、自分の好みの空間が作れると思います。
モダン様式をセレクトされる方の場合には、ステンレス(シルバー系)黒、白などがベースカラーとなりやすく、家具などもガラスを使用したものを利用したりすることも想像できます。それを踏まえると白を選ぶ際にも、薄く茶系統の入った白を選ぶとイメージがあわないこともあります。白色を選ぶ際には真っ白からグレー系統を含む白からセレクトすると良いと思われ、自分の好みの様式を知ることから、カラーセレクトを行うと良いと思われます。とはいえ、直感で好きな色をどんどん取り入れることも、良いと思います。自分の部屋くらい、誰にどう思われようが関係ないと思うことも勿論OKです。すべての壁をピンクと白にしたり、全てグリーンにしたりと個性あふれる部屋づくりも楽しいです。
赤は、太陽の色をイメージさせることから、活発になり、食欲が増進し、元気、やる気が出る色と言われています。暖色系統なので部屋を広く見せる効果はありませんが、暗いワインレッドなどは高級感があり、温かい雰囲気になります。ポップカラーの代表格ですので、明るいインテリアを好む方にはとても向いているカラーです。
暖色系統となります。陽気でポジティブな気分にさせてくれる色です。リビングやダイニング、子供部屋などに向いているでしょう。赤色同様、元気にさせてくれる部屋となりますのでお子様の部屋に取り入れたりすると元気いっぱいのお子さんになるのでは?と思ったりします。
楽しくなる色と言われており、ポップカラーの一つです。風水でも黄色は金運がよくなるみたいで、西側の玄関に、黄色系統の色をアクセントで入れてほしいといわれる方が、少数ですがおられました。家族が集うリビングやダイニングに向いているでしょう。発想力が高まる色ともいわれており、勉強部屋やワークスペースにも向いているといわれています。
青色のイメージとして、海、空が思い浮かび、サーフィンやアメリカの西海岸風のインテリアといったおしゃれな雰囲気のカラーとも思われますが、青色は寒色の代表で気持ちを落ち着かせたりする効果もあります。暖色系と違い寒色系は部屋を広く見せる効果があります。青色系統には気持ちを落ち着かせる効果があることから寝室や勉強部屋にも採用されます。
日本古来から紫色というのは高貴な色と位置づけされており、神社仏閣や歴史に造詣のある建物にも配色される色となっています。紫色は緊張や不安を和らげ、穏やかな気持ちにさせる効果があります。催眠効果があるので寝室に向いているといわれています。
緑色のイメージとして、森林といった自然や植木の緑と同じように、心を落ち着かせる効果があります。緑でも黄緑といったカラーは元気にさせてくれる色だったり、リラックス効果のある緑まであることからセレクト次第で雰囲気の変わる系統とも言えます。和風にも使われる抹茶色もあるなどリビングや寝室に向いています。集中力がUPする色ともいわれており、勉強部屋やワークスペースにも向いています。
明度の低いことから黒は高級感や重厚感を与えます。黒でも鍛鉄のように力強さを感じさせる黒もあれば白色の逆効果の引き締め色となることから、部屋に使用すると狭さが強調されたりするため使い方には工夫が必要となります。前面に使うのではなくポイントとして使うとよいといわれています。黒色には、威厳や高級感といったプロフェッショナルな色といった意味の側面もある反面、重苦しい面もあるので、使い方次第でとても素敵な空間が出来上がると思われます
グレー色は一般的に、コンクリートをイメージされる方の多い色となります。明度によって印象が全く変わる色で、白に近いグレーは解放感があり、黒に近いグレーは閉鎖感があります。グレーに茶系統の色が加わると、グレージュとなり、お客様からも要望として取り入れる方が増えていたりする色となります。スタイリッシュな雰囲気でオシャレに仕上がる色です。どの様式にも合わせやすい色となります。
茶色のイメージとして、木や土といった自然の物となります。日本に住む私たちにとってなじみ深く、どんなスタイルにも合わせやすく、温かみも感じられる配色となります。フローリングに使用する木の色でも違いがあるように、明るい木の色から、深みのあるウォールナット色など、系統に分かれてきます。茶色の効果として、安定、緊張緩和、堅実、温もり、伝統というものがあることからも、使用する部屋は
どこにでも合うと思います。
白色・ホワイトは空間を一番広く見せることが出来るカラーです。解放感を感じされる一方、少し間延びしてしまったり、物足りない印象になるデメリットもあります。内装をホワイトで統一したい場合はシンプルなクロスではなく、少し柄の入ったものやタイルをセレクトするだけでも同じ白でも大きく空間の印象が変わってきます。また、ホワイトの中でも少し黄色味のある白から、雑味のない明るい白まであり、温かみ~冷たい印象と大きく変わる為しっかりとお選びいただくと良いでしょう。
3⃣アクセントクロスを取り入れる
「アクセントクロス」とはその名の通り、部屋の一部の壁だけを色や柄の壁紙にしてアクセントをつけたものです。居室を明るくする仕上げにすることが一般的なことにより、白色ベースのクロスを貼りますが、天井や壁の全方位真っ白にするのではなく、1面だけ好きな色や、柄が入ったものをセレクトすることにより、より自分の望みの空間が出来上がると思います。全面と違いアクセントクロスであれば、派手と思っていた柄でも個性的な色でも、チャレンジしやすくなると思います。
近年、アクセントクロスで人気なカラーとして、「グレー×ベージュ」・「ブルー×グレー」がとても採用されています。この2色は、人気の北欧系家具やインダストリアル系家具にも相性がよく、鮮やかなブルーや濃いブルーを混ぜた色もアクセントクロスの人気色で、木造住宅の建具やフローリングの木の色と反対色になるため、自然とセンスのいいインテリアデザインに仕上げやすくなります。アクセントクロスを使用する場所については、好きなところ、目が行きやすい場所、目立たせたい場所など様々です。よく依頼される場所としてご紹介いたします。
■リビングのテレビなどオーディオの背面 | ■リビングのソファ設置背面 |
■カフェ風キッチンの背面 | ■寝室のベッド奥側面 |
■玄関正面壁 | ■トイレ奥側面 |
■お子様の部屋天井面(暗くなると星座が見えたりするもの) | ■お子様の部屋天井面(暗くなると星座が見えたりするもの) |
〈POINT1〉
部屋に広がりや奥行を感じられやすくする工夫として、濃いめの寒色系を配色すると良いといわれています。リビングルームに設置されるテレビなどは黒色という事もあり、真っ白な壁紙の前に黒色のテレビが来ると圧迫感が感じられやすいことから、テレビなどの背面には寒色のグレー色系をセレクトすると、奥行などが感じられ、テレビなどの黒色が目立ちにくくなると思います。 |
〈POINT2〉
キッチンリフォームなどで、キッチンに立たれる方がアイランドキッチンやI型キッチンというようにリビングやダイニング側の人と向かい合うタイプを好まれる方が増えており、壁側に設置するキッチン収納も、壁が見えるオープンラックスタイルなども取り入れたりと、カフェスタイルへのリフォームなども人気が出ています。そのようなキッチンスペースの壁などにアクセントクロスで好みの色などを入れたりと、個性のあるキッチン空間にチャレンジしてみるのも楽しいでしょう。 |
〈POINT3〉
寝室のアクセントクロスとして採用されやすい配色は様々です。ベット横に置く間接照明(電球色)が柔らかく感じられるベージュ系や、ストレス軽減となりやすいグリーン系やブルー系など、本当に様々となっています。クセントクロスなので、その人が好きなものや落ち着くものなどをセレクトし、柄物がセレクトされても良いと思います。 |
4⃣機能性がある壁
「抗アレルギー効果」・・・アレルギーや花粉症の方にオススメな壁紙です。表面に安全性を確認した薬剤を使用し、アレルギーの原因となるダニのフンや死骸、花粉症の原因となるスギ花粉などへの抑制効果があります。ただし効果は5〜10年を目処に減少していくと言われています。 |
「消臭・抗菌効果」・・・臭いに敏感な方にオススメとなります。トイレや洗面室といった箇所に発生しがちな、生活の気になるニオイを軽減する機能を持つ壁紙です。ニオイの素となる「ガス」を吸着し分解することで消臭する仕組みとなっており、タバコ臭やペットのニオイにも効果があるといわれています。 |
「マイナスイオン効果」・・・マイナスイオンはリラックス効果もあるといわれており、空気中の水分と反応することでマイナスイオンを放出する、天然鉱石を含んだ壁紙となります。マイナスイオンの効果によりストレス軽減やリラックス効果が期待されています。 |
「湿度調整効果」・・・夏涼しく冬暖かく感じられる紙や布の壁紙の表面に無数の穴を開けることで、空気中の余分な水分を吸収したり、逆に放出したりできる仕組みとなっています。それらの機能により室内の湿度をなるべく一定に保つことができ、夏は涼しく冬は暖かく感じられる効果があります。抗アレルゲン小さなお子さんがいるご家庭や、ペットを飼っている方は、機能性壁紙を選ぶのをおススメします。例えば、傷や汚れに強いもの、抗アレルゲン機能、カビや結露を抑える調湿機能、匂いを軽減してくれるものなど色々な種類があります。 |
「腰壁」・・・腰壁は床面から人の腰あたりの高さまである壁を指します。一般的には荷物の出し入れや、壁にぶつかることが予想されやすいといった特徴のある店舗や、車いすの方でも気軽に壁に当たれるような病院などに使われますが、一般のご家庭でも、おしゃれを基準に導入される方もおられます。特にペットがいるご家庭におススメなのが、傷や汚れに強い板を貼り腰壁とするケースもございます。 |
「黒板」・・・黒板といえば学校を思い出しますが、最近では黒板塗料や黒板の材料を壁にされるご家庭もございます。私たちのお客様でも、お子様の部屋の前の壁を黒板風にして、今日あった出来事や、忘れ物防止の注意事項といった伝言板のような使い方から、キッチンの壁に使用してカフェ風にされる方までおられます。 |
まとめ
リフォームでも、壁のイメージを変えるといった簡単なリフォームでも、空間イメージがガラッと雰囲気が変わることから、お気軽に気分転換を図ってリフォームをしてみるのも楽しいと思います。
少し予算を抑えて壁紙を遊びたい場合は色を変えるだけや、絵画を飾るようなイメージで長方形やスクエア型にタイルを貼ったりすることでお洒落な壁の一面に仕上げる事ができます。気になる壁紙等をある程度打ち合わせでお聞きし、現地の光・照明環境下で実際のサンプルと照らし合わせる事でイメージが付きやすいかと思います。せっかくリフォームする際に是非遊び心を取り入れた模様替えをしてみてはいかがでしょうか。